今回は、山形県米沢市の白布(しらぶ)温泉にある「中屋別館 不動閣」に宿泊しました。
白布温泉が開湯したのは1312年6月。700年以上の歴史があります。1312年は何時代だろうと思って調べてみたら、鎌倉時代の末期、北条氏の治世でした。
標高は約900メートル。日本百名山の1つ、西吾妻山の中腹にあり、登山やスキーなどで訪れる人も多いところです。
白布温泉に古くからある旅館は、東屋、中屋、西屋の3軒。3軒とも茅葺き屋根の宿でした。
しかし、平成12年の火事で東屋と中屋が全焼。東屋は再建され、中屋は別館の建物で旅館経営を続けています。
それで、旅館名が「中屋別館 不動閣」なのだそうです。こちらのご当主は27代目ということで、その歴史の重みが伝わってきます。
「中屋別館 不動閣」への行き方
電車で行く場合
各方面からJR米沢駅で降ります。そこから山交バスに乗り、「白布温泉待合所」バス停で降ります(約40分)。
バス停からすぐのところに中屋別館不動閣の門があります。
米沢駅から旅館の送迎バスも利用できます(要予約)。行きは米沢駅を14時30分発、帰りは旅館を10時頃発となっています。
車で行く場合
東京・仙台方面からは、東北中央自動車道の米沢八幡原ICの出口を出ます。国道13号、県道2号を進みます。
白布温泉街に入って坂道を上っていくと、右手に中屋別館不動閣の看板が見えてきます。
看板の手前から、駐車場(旅館の前)に入れます。10台以上駐車できそうな広さです。
「中屋別館 不動閣」の外観
中屋別館不動閣の門。立派。山交バスで来たら、この門をくぐって入ります。
しばらく進み、階段を下りると・・・
建物が見えてきます。宿泊したのは2月上旬。しっかりと雪が積もっていました。これでも暖冬で少ないそう。
この旅館は、最上川源流沿いに3つの建物がつながっています。(画像は旅館HPからお借りしました)。
不動閣は、大正時代に米沢市内の酒蔵さんの自宅として建てられたもの。
昭和34年に今の場所に移築され、旅館として使われるようになったそうです。
渓谷館は昭和39年(東京オリンピックの年)に建てられ、黎明館は平成に入ってから建てられたそう。
大正・昭和・平成とそれぞれ異なる時代に建てられた建物がつながっています。
大正ロマンの雰囲気が感じられる不動閣は、米沢市景観賞を受賞しているそうです。
渓谷館。お客さんはここから旅館内に入ります(不動閣の正面玄関は閉まっています)。
「中屋別館 不動閣」の館内
旅館に入ると、廊下の奥に茶の間があります。
囲炉裏。炭が真っ赤になって燃えています。やかんのシューシューという音も聞こえてきて、おばあちゃんちに帰ってきたような気持ちになります。
茶の間の隣には、広いロビーがありました。照明や家具、じゅうたんが昭和っぽい。俳優の眞島秀和さんのフォトブックには、こちらの旅館が登場していました。
ロビーのドアを開けて、奥に入ると・・・
雪景色をゆっくり眺められる場所がありました。ベランダを改装して室内にした感じです。つららがすごい。
「中屋別館 不動閣」のお部屋
今回は、渓谷館(昭和に建てられたもの)に宿泊しました。渓谷館は2階建てで、入り口や茶の間、ロビーが2階にあります。
宿泊した部屋は1階にあったため、階段を下りて向かいました。
廊下のいたるところにストーブが置かれていました。
寒くないようにとの心遣いは感じられましたが、やっぱり冷え込みます。夜になると吐く息が白くなりました。
お風呂や食事で移動するときは、浴衣と羽織の上に着られる厚手のカーディガンなどがあったら良いかも。
ドアを開けて入ると・・・
8畳の和室。すでに布団が敷かれていました。部屋の中はガスファンヒーターがあり、暖かく過ごせました。
大きな窓からの景色。下の方で、最上川源流の大樽川が流れています。室内にも、さらさらと川の流れる音が聞こえてきました。
枕も敷布団も、ふっくらして重みのあるタイプでした。掛け布団の上に毛布を掛ける方が暖かいそうです。
枕元はこんな感じ。
テーブルの上には、緑茶とほうじ茶が用意されていました。部屋の隅にポットがあって、お湯を沸かしてありました。おせんべいは、ほのかな甘みがあって、ぱりぱりとした食感でした。
冷蔵庫の上に、昭和感のある入れ物がありました。旅館名が入っているコップにも昭和を感じます。
冷蔵庫の中には、飲料用の清水が用意されていました。飲みやすいお水でした。
タオル、浴衣など一式はここに。足袋靴下もありました。子ども用の歯ブラシやフェイスタオルもありました。
旅館オリジナルのフェイスタオル。可愛い!
室内にお風呂はなし。洗面台はトイレと別でした。洗面台からはお湯が出ます。
トイレもきれいでした。便座は暖かかったです。ウォシュレットはなし。
「中屋別館 不動閣」のお風呂
黎明館(平成に建てられたもの)に、大浴場(オリンピック風呂)と露天風呂があります。渓谷館から、不動閣を通って向かいます。
不動閣のロビー。赤いじゅうたんが敷かれていて、レトロな雰囲気です。廊下を進むと…
左手に大浴場(オリンピック風呂)、右手に露天風呂があります。
階段を上がってオリンピック風呂の入口へ。
こちらの大浴場は昭和39年の東京オリンピックと同じ年に造られたため、オリンピック風呂と呼ばれているそうです。
洗面台、脱衣所はこんな感じ。洗面台に備え付けのドライヤーは1台のみ。順番に使います。2台目を使うとブレーカーが落ちてしまうからだそうです。
非常に横長のお風呂です。男性用は18メートル、女性用は15メートル。
お風呂に入る人全員が、景色を見ながらゆっくり入れるよう、横長のお風呂にしたそうです。
お湯は熱めです。奥がより熱かったので、手前でつかりました。
温泉はかけ流しの硫黄泉(源泉が高温のため加水あり)。無色透明です。皮膚病や糖尿病、高血圧、疲労回復などに効果があるそうです。
☝の画像は男性用の大浴場。旅館HPからお借りしました。緑の季節も素敵。
続いて露天風呂へ。大浴場と露天風呂は別々の場所にあるため、いったん浴衣を着て、露天風呂に向かいます。
露天風呂のドアを開けると、外です。下にあるかごに浴衣やタオルを入れておきます。
露天風呂にあるのは、かけ湯に使う風呂桶と椅子だけでした。大浴場で体を洗って、よく温まってから露天風呂に入ると良さそうです。
雪見風呂♪4人がそれぞれの隅に入って、手足を伸ばしてつかれる位の広さです。
こちらのお湯は、外気にさらされて、程良い温度になっていました。ゆっくり入れました。
☝の画像は旅館HPからお借りしました。緑の季節はこんな感じ。
お風呂から戻るとき。不動閣のロビーを反対側から撮りました。
「中屋別館 不動閣」の食事
食事は個室でいただきました(渓谷館の2階の部屋)。
夕食(米沢牛のすき焼き会席)
目でも楽しめる前菜や小鉢。
お造りは鯉の洗い。鯉の刺身を温水で洗い、冷水でしめたものだそうです。淡白な味で、からし酢味噌をつけていただきました。隣はゆずこんにゃく。鯉の骨切揚げと、鯉煎餅はサクサクした食感。
メインは米沢牛のすき焼き!霜降り具合がすごい。
お肉はやわらかくて、脂もくどくなくて美味しかったです。野菜や豆腐もたくさんいただきました。
温かいそば。鍋に入れてしばらくしてからいただきました。その他、ご飯やりんごをいただきました。お腹いっぱい。
旅館に泊まるといつもお願いする、日本酒飲み比べセット。ここでは、10種類のお酒から3種を選べます。
飲みやすいお酒を、ということでおまかせでお願いしたところ、「富久鶴 雪国慕情」、「東光 純米吟醸原酒」、「東光 純米かろやか」を選んでいただきました。
個人的には、「東光 純米かろやか」が1番美味しかった。
小学生の子ども用の食事。お造りの代わりに、手作りの唐揚げやポテトサラダがありました。
朝食
朝食も夕食と同じ部屋でいただきました。個室だと、周囲を気にせずに食べたり話したりできて良いですね。
雪景色を眺めながら。
品数豊富な和朝食。温泉卵をご飯にのせて食べると美味しい!
体が温まる湯豆腐も。どれも美味しくいただきました♪
雪ぼんぼり・餅焼き体験・売店
雪ぼんぼり
雪が多い週末は、旅館前に雪ぼんぼりが作られます。
幻想的な空間。
夜はこんな感じ。
餅焼き体験
茶の間では、餅焼き体験ができます(1人300円)。
十字に切り込みの入った餅を囲炉裏で焼かせてもらいました。ぷくーっとふくらむ前に焦げちゃったりして、加減が難しい。
真ん中の茶色い餅は、ごまの入った味噌餅です。サービスでいただきました。ほんのり甘い餅。
焼けたら、お汁粉に入れていただきます。焼き立ての餅はふわふわで美味しかったです。
旅館の湯呑み。中屋本館はこんな感じだったのかな。
売店
入ってすぐのところに売店がありました。
旅館オリジナルのきなこ草だんご。
さまざまなお茶。
西吾妻山の手ぬぐい。西吾妻山は白猿がいることで有名なんですね。
まとめ
今回は、山形県米沢市の白布(しらぶ)温泉にある「中屋別館 不動閣」について書いてみました。
良かったところ
食事はとても美味しく、お風呂は清潔でゆっくり入れました。そのほか良かったところは👇のとおり。
- 由緒ある旅館、レトロな建物
- 食事を個室で食べられる
- 部屋やお風呂からの景色が素晴らしい
- 旅館の方は気さくで親切(良い距離感)
留意点
👇は留意点です。
- 冬は廊下が寒い
- 廊下が長かったり、階段が多かったりして、移動が大変に感じるかも
- 子ども用の浴衣はないので、パジャマを持参する必要あり
便利な設備が備えてある、今風の旅館とは異なりますが、全体的にとても居心地の良い旅館でした!今度はほかの季節に訪れたいと思います♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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